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アフリカの木彫り像特集は2017年8月末日をもって終了しました
  








誰もが認めるアフリカンアートの花形「彫刻(木彫)」


アフリカの魂を彫りおこしたかのような想像力豊かで創造性にとんだ造形センス、
他の追随を許さないその圧倒的な存在感と力強さは世界中の愛好者を魅了し続けている
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*本稿はアフリカの伝統的な木彫文化についての記述です。
 現代の木彫工芸には当てはまらない記述が多く含まれています。


〜アフリカの木彫〜
アフリカンアートの花形はなんと言っても木彫りの彫像や仮面である。想像力豊かで創造性にとんだ造形センス、他の追随を許さないその圧倒的な存在感と力強さは過去においては遠くヨーロッパのピカソやマティスに強い影響を与え、近現代西洋美術界に革命をもたらし、現代においては世界中に愛好者を獲得している。

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アフリカの彫像(木彫り)アフリカにおける木彫の起源ははっきりとはわからないことが多い(「アフリカの〜の起源ははっきりとはわからないことが多い」、このお決まりのフレーズでコラムを書き始めるのもいい加減飽きてきたけれど、わからないものはわからないんだからしょうがない)。シロアリや気候の影響で木はすぐに風化、劣化してしまい、古い物はほとんど残らない、さらには少数の例外を除き文献記録もほとんどない、などが主な理由である。

しかしアルジェリアタッシリ=ナジェールをはじめとするサハラの岩面画群には、仮面を被った人物と思われる絵(狩猟民の時代の壁画:6000〜8000年前頃)が多数残されている。

また、木彫ではないが現在わかっている限り(遺物が残っている)最古クラスのアフリカの彫刻文化としては、ナイジェリア中北部ジョス高原に前1000年頃〜後200年頃にかけて栄えたノク文化があげられる。代表的な遺跡の名をとってノク文化と呼ばれるアフリカ最古の鉄器文化は、粘土製の彫像(人物像、動物像等)でも有名であり、これらの土偶はサハラ以南のアフリカの彫刻文化として現在遺物が残っている中では最古の物の一つである。

さらに前4Cごろ〜15Cごろにチャド湖畔に栄えたサオ文化(チャド文化)においても人をかたどった粘土像がつくられ、仮面をつけた人物像と考えられている一群の粘土像はアフリカの彫刻文化の貴重な資料となっている。

くわえて西アフリカの大河ニジェール川流域では中・下流域一帯(マリニジェール・ナイジェリア・ちょっと外れるけどブルキナファソなど)から、古いものでは紀元前2世紀頃にさかのぼると見られる素焼きのつぼ、塑像が大量に出土している。古いものがほとんど残っていない木彫品の代わりにこれらの年月を経てものこりやすいやきもの彫刻や青銅彫刻を通じて古い時期のアフリカの木彫文化の一端を想像することが出来る。

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サハラ以南のアフリカにおける木彫(仮面・彫像)は農耕民の文化であり、遊牧民・狩猟採集民などは家具や道具としての木彫は行うが仮面文化を持たず、また彫像製作もほとんど行わない。また伝統的木彫(仮面・彫像)文化は主に西・中部アフリカで盛んである。

西・中部アフリカの彫刻は大まかに民間のものと宮廷美術に二分できるがこれはあくまで大まかな分類に過ぎず、この分類に当てはまらない事例も数多く見られる。

アフリカの彫像(木彫り)王制が発展しなかった地域では当然のこと宮廷美術は存在せず、仮面や彫像の制作はもっぱら民間の需要(伝統的地域共同体の祭礼・儀式のため。または一族の祖霊像、呪術像などの比較的個人的な必要)によって製作された。また現マリのようにガーナマリソンガイなどの大帝国が栄えたにもかかわらず宮廷美術と呼べるような木彫文化が発展しなかった地域もある(私見ではあるがマリ・ソンガイ帝国の皇室はイスラム教徒であったため偶像崇拝につながるような仮面・木彫り像文化が宮廷美術としては発展しなかった可能性がある)。アフリカ美術の大部分はこれらの民間芸術に属するが、傑作として現在美術館・博物館などに収蔵されているものにはやはり宮廷美術が多く含まれている。

強力な王制が発達したいくつかの社会(代表的な例として西アフリカのヨルバフォン、中部アフリカのバコンゴバクババルバなどが挙げられる)では、王や王族のためだけに、専門かつ一流の職人があまり予算の縛りもなく作ることのできる宮廷美術が発展し、その作品には完成度の高い一級品が多い。これらの社会では民間と宮廷美術という2つの異なる様式の美術がつくられていた。また、宮廷美術とまではいえないものの小規模な首長制社会においてもそのような傾向が見られることが多い。

上で述べた宮廷美術の発達した社会では王宮に所属する工芸家達の工房があり、宮廷からの需要に応えるため、親方を頂点とする徒弟制度によって修行した専門の職人達が腕を競い合った。しかし宮廷美術を持たなかった社会においては多くの場合専門の彫刻家というものは存在せず、カースト制度を持つ民族社会においては鍛冶屋(→参照)が本業と仮面・彫像製作を兼業することが多い。またその仮面を用いる特定の秘密結社の構成員が仮面の製作にあたることもある。

いずれの場合にしてもそれぞれの社会の中で仮面.・彫像を作ることのできる人間というのは厳密に定められていて資格を持たない者がそれを行なうことはない場合が多い(バウレのように自由な職業選択の結果として彫刻家になる場合もある)。木彫製作者は通常、森の奥や荒野など人目につかない場所でそれらの製作を行なう。

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〜アフリカの彫像(木彫り):超常的な力の導き手〜
アフリカ大陸の広さ、そこに住む民族の多様性を考えても「アフリカの彫刻」と一括りに論じることは不可能には違いないが、そこにはいくつかの共通的な性格を読み取ることができる。

アフリカ彫刻(彫像)の特徴としてまず上げられるのが円筒的性格である。丸太や木の枝から作られるということも原因のひとつと思われるが、アフリカの彫刻家は作品をひとつの円筒として捉える。彫刻の形は円筒の垂直軸に対応して決められるのでアフリカの彫刻の第二の特徴として左右対称性が上げられる。この円筒的性格と対称性がアフリカ彫刻の持つ力強く堅牢な印象を作り出していると言えるだろう。

アフリカの彫像(木彫り)アフリカ彫刻(木彫)の三大ジャンル:仮面・彫像・家具/民具等のうち、仮面が共同体の祭礼の場など人々の前で用いられる公的な性格を持つのに対し、彫像はあまり人目に触れることのない神殿や社の奥、家の祭壇などに安置されることが多く、私的な儀礼に使用されることが多い(人目に触れる場所:家の入り口や村の入り口等において悪霊などが入ってこないようにするものもある)。

アフリカの彫像は主に呪術用彫像、非物質的なものがのりうつった像(神格をかたどった、または祖霊や精霊の憑代としての彫像)、記念碑的彫像(神話・伝説の登場人物・出来事をあらわした彫像や、王の像などの記念碑的性格を持つ彫像)の三つのタイプに分類できる。

呪術と言う用語は呪いで相手に不幸をもたらすなどの負のイメージを連想しやすく適切ではないのかもしれない。もちろんそのような目的のために用いられることも多いが、病気平癒や幸運をもたらすことを願って用いられることのほうが多いと思われるので、呪術よりも魔術という語のほうが適当かもしれない。この呪術/魔術用の彫像の中でもコンゴNkisiは全身に釘を突き立てた怪異な姿で特によく知られている。この種の彫像は主に呪術/魔術師個人の所有物でありそれを用いる儀式も魔術師とその依頼人の間のきわめて私的なものとなる。

また、アフリカの伝統彫刻の特徴として「没個性的」と指摘されることが多い。あれほど想像力豊かで創造性に富んだアフリカ彫刻に対して言うに事欠いて「没個性的」とは何事だ、と思う向きもあるかもしれないが、この場合の没個性とはアフリカの伝統的彫刻をつくってきた個々人に対しての評価である。

アフリカの彫刻は、芸術家の自己表現としての芸術ではなく、常に社会的・宗教的な要請によってつくられ伝統社会の世界観と密接に結びついているため、代々受け継がれてきたデザインが重視される傾向があり彫り手個々人の個性が表現しにくくなっている。とはいえ、なかには「ブリの名工」「懸崖の髪の名工」(個人名は特定できないが、作品の見つかった場所や、作風などからつけられたニックネーム)など名人との評価を受ける彫り手も存在する。

アフリカの多くの民族社会に共通する信仰・世界観として「宇宙に内在する力」への信仰がある。アフリカの彫刻はまさにアフリカの世界観を木から彫り起こし、宇宙に内在する力をかたどったものに他ならない。


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アフリカの彫像(木彫り)特集は2017年8月末日をもって終了しました
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