壁を飾る仮面の数々 |
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〜アフリカの仮面〜
アフリカンアートといえば仮面(マスク)、仮面といえばアフリカ美術。アフリカ芸術の花形が木彫り、さらにいえば木彫りの仮面であることに異議を挟めるものはいないだろう。アフリカの美術・工芸はほかにもブロンズ彫刻や粘土塑像、多彩な染織工芸など実に多様なジャンルにわたり豊かな工芸文化が発展してきたが、それでもやはりアフリカンアートといえばまず思い浮かぶのが、他の大陸には見られない独特で強烈なデザインの木彫り、中でも仮面なのである。アフリカの仮面や彫像がその圧倒的な存在感と力強さ、西洋美術の文脈にない大胆な造形センスによってピカソやマティスに強い影響を与え、近現代西洋美術界に革命をもたらしたことはつとに知られている。
そのアフリカの木彫りであるが、その起源ははっきりとはわからないことが多い。シロアリや気候の影響で木はすぐに風化、劣化してしまい、古い物はほとんど残らないからである。しかしアルジェリアのタッシリ=ナジェールをはじめとするサハラの岩面画群には、仮面を被った人物と思われる絵(狩猟民の時代の壁画:6000〜8000年前頃)が多数残されていることから、その時期にはすでに仮面文化が存在したと考えられている。
また、木彫ではないが現在わかっている限り(遺物が残っている)最古クラスのアフリカの彫刻文化としては、ナイジェリア中北部ジョス高原に前1000年頃〜200年頃にかけて栄えたノク文化があげられる。代表的な遺跡の名をとってノク文化と呼ばれるアフリカ最古の鉄器文化は、粘土製の彫像(人物像、動物像等)でも有名であり、これらの土偶はサハラ以南のアフリカの彫刻文化として現在遺物が残っている中では最古の物の一つである。
さらに前4Cごろ〜15Cごろにチャド湖畔に栄えたサオ文化(チャド文化)においても人をかたどった粘土像がつくられ、仮面をつけた人物像と考えられている一群の粘土像はアフリカの仮面文化の貴重な資料となっている。
くわえて西アフリカの大河ニジェール川流域では中・下流域一帯(マリ・ニジェール・ナイジェリア・ちょっと外れるけどブルキナファソなど)から、古いものでは紀元前2世紀頃にさかのぼると見られる素焼きのつぼ、塑像が大量に出土している。古いものがほとんど残っていない木彫品の代わりにこれらの年月を経てものこりやすい粘土塑像や青銅彫刻を通じて古い時期のアフリカの木彫・仮面文化の一端を垣間見ることが出来る。
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アフリカの伝統社会の中で仮面は重要な役割を果たしている。娯楽としての仮面舞踊・仮面劇を行う民族社会もあるが、仮面の主な役割はやはり祭祀、儀式である。仮面を製作・使用する民族の祭礼・儀式では仮面が中心的な役を演じるが、その重要性ゆえに、仮面を作っているところを人に見られてはいけない、とか、女子供は仮面を見てはいけない、などのタブーをもつ社会も多い。
しかしアフリカでは仮面そのものに価値を見出す社会は少ない。仮面はそれに対応する衣装、被り手の三者が祭礼・儀式(農耕祭、葬式、通過儀礼、秘密結社の儀式など)の場に現れることによってはじめて神話的・宗教的な意味を持ち、被り手(踊り手)は、人ではなく仮面に宿る精霊や祖霊そのものとみなされる。
そのため祭礼が終わったあとは仮面を廃棄してしまう民族も多く(次の年の祭礼時にはまた新しく作る)、そのことは気候的な要因と並びアフリカの仮面で古いものがあまり残っていない原因のひとつとなっている(古い時代の仮面はほとんど残っていない。古くても数百年程度)。
西、中部アフリカでは(秘密)結社組織を持つ民族社会が多い。そしてその多くが仮面結社としての性格を備えている。その社会では仮面を用いた儀式をつかさどるのは結社成員であり、仮面を作るのも結社の成員であることが多い。また、職業カースト制度を持つ民族社会においては鍛冶職人(→鉄参照)が本業と仮面・彫像製作を兼業することが多い。これは鍛冶師が持つと考えれている超自然的な力によるものであろう。鍛冶師は鉄鉱石の探査、採掘、精錬、鍛造といった素人目には魔法のようにも見える過程を経て、そのままでは何の役にも立たない石ころ(鉄鉱石)を加工し、日常生活に欠かせない農具から非常に大きな殺傷力を持つ鉄製の武器までを創り出すため、魔術的な力を持つものとして畏怖の対象でありながら畏れ遠ざけられてきた。
いずれの場合にしてもそれぞれの伝統的民族社会の中で仮面.・彫像を作ることのできる人間というのは厳密に定められていて資格を持たない者がそれを行なうことはない場合が多い(バウレのように自由な職業選択の結果として彫刻家になる場合もある)。仮面の製作者は通常、森の奥や荒野など人目につかない場所でそれらの製作を行なう。
アフリカの彫刻は、芸術家の自己表現としての芸術ではなく、常に社会的・宗教的な要請によってつくられ伝統社会の世界観と密接に結びついている。精霊、祖霊、超常力のよりしろとなるべき仮面は、アフリカ人の世界観を木から彫り出したものであり、その生命力と独創性に満ちたかたちは見る者をあきさせない。 |
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アフリカの仮面には顔にかぶる仮面(日本で言う仮面のイメージに最もよく合致するタイプの仮面:作例も一番多い)のほか、ヘルメット型仮面・頭上面などもある。
ヘルメット型仮面
顔ではなく頭に帽子のようにかぶる仮面。そのまま顔面まで覆うタイプのものもある(セヌフォの火を吹く仮面、ヨルバの仮面:ゲレデなど)。
頭上面*今回の割引対象にはなりません
上記のヘルメット型仮面と区別しがたいものもあるが、カゴや革で作った帽子の上に取り付けて使用するタイプの仮面(彫像)。仮面としての機能を持つが、踊りの衣装や頭上に取り付けるための帽子などから切り離されて、形状だけで見る場合は彫像のように見える(当店でも便宜上、仮面ではなく木彫り像として分類している)。(バガのニンバ像、バンバラのチワラなど)
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アフリカの仮面特集は2017年5月末日をもって終了いたしました
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