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*フルベ特集は2008年5月末日をもって終了しました









広大なサヘルに牛と共に暮らす牧畜民フルベ。数百年前、セネガルから始まったフルベの大移動はサヘルを東へ東へと進み、ついには遥か東のナイルのほとりにまで達した。
かつて西アフリカに次々とイスラム王朝を築き上げたサヘルの聖戦士(ムジャヒディーン)の末裔たち… 長身痩躯にまとった長衣の裾をひるがえし、牛の群れを率いるフルベの姿は、サヘルの厳しい自然と共に生きる者の誇りに満ち溢れいる。
 週に一度の市の日。晴れ着で着飾ったフルベの少女。 過去の特集を見る>>

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〜フルベとは〜
 東はスーダン西部から西はセネガルまで、北はニジェール北部から南はギニアカメルーンまで、サヘルの広大な地域に居住する牧畜民。自称はフルベ。周辺の他民族からフラニ、プール、フラなど様々な呼ばれ方をされている。

 6〜4千年前、サハラがまだ緑に覆われていた時代にサハラ各地で牧をおこない多数の岩壁画を残した人々がいた(牛の時代の壁画)。その壁画に描かれた生活、風俗と現在のフルベ人のそれとの間に共通点が多く見て取れることから、それらの壁画を描いた人々がフルベの遠い祖先ではないかといわれている。

 フルベ人の起源については長年の間様々な説が唱えられてきたが現在最も有力と思われる説は、フルベ発祥の地はセネガル河流域であるというものである。セネガル河流域にいたフルベ人たちが15,16C頃からサヘルを東に移動し始め、各地で定着、移動を繰り返し、フルベの居住地域はついにはサヘルを横断しスーダン共和国のナイル河周辺にまで及ぶようになった。

 現在フルベが一定数居住する国は、モーリタニアセネガルガンビアギニア共和国ギニアビサウシエラレオネコートジボアールマリブルキナファソガーナトーゴ
ニジェール:乳製品を売るフルベの女性たち
自家製のチーズを売るフルベの女性たち。ニジェールやマリの
市場では酪農品を売るフルベの女性をよく見かける。

ベナン、ニジェールナイジェリアカメルーンチャド中央アフリカ共和国スーダン共和国など20ヶ国近くに及び、おそらくアフリカでもっとも広範囲にわたって居住する民族であるといえる。

 西スーダンでは比較的早い時期に民族単位でイスラム化したフルベ人たちは18C後半から19C後半にかけて、当時西アフリカで一般的であった土着の信仰との習合的イスラム信仰を批判し、西スーダン各地で相次いでジハードをおこした。フルベのジハードの結果として各地でイスラム神権国家が樹立され、西アフリカのイスラムかに拍車がかかった。 主なフルベ・イスラム国家としてウスマン=ダン=フォディオソコト帝国マシーナ王国エル・ハジ=ウマルトゥクロール帝国などが挙げられる。

 フルベの本来的な生業はを中心とした牧畜だが半定住の半農半牧、定住し農耕、商業に従事する者も多い。
マリ:ニジェール河沿いを進む牛の群れ
ニジェール河沿いに放牧されている牛の群れ。
ウスマン=ダン=フォディオのジハードの結果北ナイジェリアのハウサランドの社会ではフルベが支配的階級を占めているという。特徴的な髪型、美男子コンテストなどの祭りで知られるボロロ(ウォダーベ)はニジェール、カメルーンなどで現在も伝統的な牧畜生活を続けるフルベのサブグループである。

 考古学的研究からはフルベの故地はセネガル河流域と考えられているが、フルベ自身の伝承によれば遠い祖先が東からやって来たといわれていて(西アフリカにはほかにも東方または北方起源伝承を持つ民族がいくつかあるーヨルバアシャンティなど)、その祖先は白い肌をしていたという。実際、典型的なフルベ人は長身痩躯、赤銅色の肌に波状の毛髪、長く通った鼻筋といった、周辺の黒人系住民とは異なる特徴を持っている。このことからフルベ人は地中海人種と黒人系住民が長い間の交婚を繰り返して生まれた民族
ではないかとも言われている。その結果かどうかはわからないが、フルベの女性の美しさは自他共に認めるところで、周辺の民族の中にはフルベ女性の美しさを謳った歌を持っている民族もいる。フルベの女性はまた顔の刺青を入れることでもしられていて、地域によって刺青を入れる箇所、文様などは様々である(口の周りを黒く塗りつぶす:セネガル・マリなど。口の周り、頬、眉間などに幾何文様を彫る:ニジェールなど)。

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〜フルベの工芸〜
 フルベの工芸品でもっとも有名なものはおそらくフルベ女性が身に着けている巨大な金のイヤーリングだろう。薄く板状に伸ばした金を加工して作った輪状の巨大なイヤーリングの写真を見たことのある人も多いかもしれないが、金を「腐った金属」として忌避するトゥアレグとは対照的にフルベの女性は金の装身具を好み、ねじり棒状のフープピアス、鼻ピアスなども好んで身に着ける。ビーズアクセサリー、ビーズを飾りつけた革製品などのも好まれている。

 アフリカのほかの民族と同様フルベの暮らしの中でもひょうたんが重要な役割を果たしているが、牧畜民であるフルベにとって軽くて持ち運びやすいひょうたんの重要性は農耕民にとってのそれよりも高いかもしれない。複雑な幾何文様を刻み込んだフルベのひょうたん容器、長年にわたる使用の間に牛やヤギのミルクが染み込んで飴色の艶やかな光沢を帯びたひょうたん容器は、アフリカのひょうたん容器の中で最も美しいもののひとつといっても過言ではないだろう。

 アフリカでは普通あまり毛織物はつくられないが牧畜民であるフルベは木綿とともに羊毛の織物をつくることでも知られている。細幅布に、単純な縞模様から複雑な文様までツヅレ織りの技法で織り込んだフルベの布は、縫い合わせて一枚の幅広布にしたときに色鮮やかな美しい縞模様や市松模様を描き出す。

 アフリカの他の遊牧民、牧畜民と同様フルベは彫刻、仮面製作は行なわない。
アフリカの布 フルベ布 フルベ
フルベの織り布
規則正しく織り込まれた色鮮やかな縞模様が美しい
 
〜広大なサヘルに牛と共に生きる民族フルベ。彼らの豊かな伝統に満ちた工芸文化は
  見るものを魅了してやまず、我々の心をはるか遠くのサヘルへと導いてくれます。〜
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フルベ特集は2008年5月末日をもって終了いたしました。

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