*写真:クバの草ビロード |
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*本稿は過去の「アップリケ・その他の布特集1・2」のコラムに、加筆訂正・写真の入れ替え等したものです。 |
〜アフリカのアップリケ〜
アップリケとは装飾のために土台となる布に別の布片を縫い付けること。布の擦れや穴などの補修から発展したと考えられている。
アフリカのアップリケとしてはベナンのフォン人によるアップリケ布、ガーナのファンティのアサフォ軍旗、コンゴのバクバによるアップリケラフィア布などがよく知られている他、北アフリカではエジプトのテントの掛け布もよく知られている。エチオピアでもアップリケを見かけたがどのような背景を持つものかは不明。
西、中部アフリカのアップリケはもともと、バクバ人が作るアップリケを施したラフィア布のように、ラフィア布(アフリカで最も早い時期に始まったと考えられている織物。ラフィアヤシの葉の繊維を糸として垂直機を用いて織る。織り上げた布には染色、刺繍、アップリケなどを施す)を柔らかくするために臼でついたり砧打ちをしたときにできた穴をふさぐために発達したと考えられている。
コンゴのクバ人は現在でもラフィア布のアップリケを作っているが、西アフリカでよく知られた二種類のアップリケ:ベナン(ダホメー王国)のアップリケとガーナのアサフォ軍旗はヨーロッパとの大西洋交易によってもたらされたカラフルな布を使って作られ始めた。両者はともにギニア湾沿岸部に位置し、ヨーロッパ人との交易に深くかかわっていた。
当時は貴重品であった舶来のカラフルな布をふんだんに用いて作られたアップリケは、たとえばダホメー王国(現在のベナン)においては王の紋章を描いた旗やその他の威信財などに用いられていた。現代のベナンの手工芸品の代表格であるアップリケには歴史絵巻風のもの、ヴォードゥン(ヴードゥー)、動物などいろいろな題材があるが中でも最もポピュラーなものがこのダホメー王国の歴代国王の紋章のアップリケであろう。
アフリカらしい派手やかな色使いと、ベナンアップリケ独特のかわいらしいデザインが魅力的なアフリカンアップリケの代表格といえるものになっている。
*写真:ダホメー王国の都アボメーのアップリケ職人 |
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〜アフリカのその他の布〜
当店で取り扱いのあるものの中からいくつか紹介してみると…
「ラフィア布・草ビロード」
ラフィアヤシの繊維を使って織った布はアフリカで最も早い時期に始まったと考えられている。ラフィアヤシの葉の繊維を糸として垂直機を用いて織る。織り上げた布には染色、刺繍、アップリケなどを施す。
ラフィア布を柔らかくするために臼でついたり砧で打ったりしたときにできる穴をふさぐため、これらの地域ではアップリケの技術が発達した。
かつてはラフィアヤシの分布する地域で広く製作されていたと考えられているが、木綿布の製作技術の普及に伴いその製作はすたれていった。現代までその技術が伝えられてきたのはナイジェリア、カメルーン、コンゴ民主共和国などであり、コンゴのバクバの作るラフィア布は有名である。
特に有名なクバのラフィア布には、ラフィアヤシの繊維で男衆が織った布にこれまたラフィアの繊維で女衆が刺繍を施しパイルじゅうたんのように仕上げたものがあり、表面の独特の質感から「クバの草ビロード」と呼ばれアフリカンテキスタイルの中でも特に有名なもののひとつとなっている。
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「刺繍」
西アフリカでは日常的に民族衣装/伝統衣装(ここではいわゆる洋服ではない衣装くらいの意味で用いる)が男女を問わずによく着られているが、その民族衣装には刺繍が施されている物も多くある。
私の狭い見聞の範囲では特に男性の服に刺繍が施されているケースを多くみたような印象がある。長衣だったり短衣だったり服の形状は色々であるが上着の襟から胸、袖口などにさまざまな文様(それぞれ何かを象徴したり、寓意を持ったりしている)を刺繍する(現在では大体の場合男の職人がミシンでやることが多い)。
この種の刺繍は服以外に入れることが殆どといっていいほど無いため、当店で手軽に扱える小物が無いのが残念。
エチオピアでも刺繍入りの民族衣装/伝統衣装が大変人気であるがこちらは女性のドレスに施される場合が多い。こちらの刺繍の文様はマスカール(エチオピア正教の十字)モチーフが多いが正教徒以外でもあまり気にせず着ている人も結構多い。こちらでは刺繍は女性の仕事のようだ(機織はやはり男)。
これらの刺繍技術や文様をいかした小物類も作られている。
写真(上):仕立て屋の軒先にぶら下がった男性用の刺繍入り上着(ブルキナファソ)。
*写真(下):刺繍を施した伝統的なドレスを着たエチオピア女性
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アフリカのアップリケ・その他の布特集Vは2024年9月末日をもって終了しました |
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