セネガル式のお茶の準備。セネガル人はとにかくよく茶を飲む |
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*本稿は2008年9月の「セネガル特集」コラムに、加筆訂正・写真の入れ替え等したものです。
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〜セネガルの歴史・民族・社会〜
大西洋に面したアフリカ最西端の国セネガル。アフリカ大陸最西端に位置しモーリタニア、マリ、ギニア、ギニア=ビサウと国境を接し、南部ではガンビアの東西に細長い国土を三方から囲んでいる。モーリタニアと国境を接する北部は半沙漠状のサヘル地域となっていてサバンナに大きく枝を広げたバオバブの姿を見ることが出来る。南部に行くにつれ降水量も増え、南部のカザマンス地方では亜熱帯性の気候となり、所々にヤシの木の生えた美しい湿地を目にすることができ、ギニアとの国境地帯では熱帯雨林が発達している。
この地域の古い歴史はアフリカの多くの地域と同様によくわかっていない。セネガンビア地方では8C頃に建てられたと考えられる巨石文明の遺跡(環状列石)がいくつも見つかっているが、その目的やそれを築いた人々については不明な点が多い。
*写真:北部サンルイ市セネガル川河口でのボートレースの練習
今日セネガルと呼ばれている地域が、初めて現在知られている歴史に登場するのは古代ガーナ王国の時代である。10Cごろにガーナの版図となり、ガーナ崩壊後はセネガンビア北部にテクルール王国(トゥクロール帝国とはまったくの別の王国)が興った他、セネガル河流域の一部はモロッコのムラービト朝の勢力下に入った。その後13,14Cにはマリ帝国の影響の下にセネガンビア中部、沿岸部にウォロフ王国が興り、その後しばらくして南部にはシン・サルームなどのセレール人の王国が勃興した。
ウォロフ王国がいくつもの姉妹国家に分裂しあい争うなか、15C半ばには早くもヨーロッパ勢力(ポルトガル)がこの地域に到達し、以後ヨーロッパの列強がこの地域の権益を争い最終的にフランスがそれを勝ち取った(ガンビア川流域だけはイギリスが獲得した)。19C半ばからフランスは西アフリカの植民地化を本格的に推し進め、カヨールのラット=ジョールやエル・ハジ=ウマルのトゥクロール帝国などから激しい抵抗を受けながらも20C初頭には現在のセネガル領の植民地化をほぼ完了。セネガルの首都ダカールがフランス領西アフリカ全体の首都となった。
「アフリカの年:1960年」6月に隣国のマリとの連邦国家「マリ連邦」として独立を果たすが、同年8月には連邦を解消、セネガル共和国として改めて独立を果たした。独立後は西アフリカの優等生として政治的にも経済的にも比較的安定して現在に至っている。1982年にはセネガル南部にくさびのように打ち込まれた国土を持つガンビアとの国家連合「セネガンビア連邦」を結成したが1989年に解消した。
*写真:首都ダカール市内の市場の雑踏
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フランス領西アフリカの首都であった影響もあり西アフリカで最も都市化の進んだ国のひとつであり、首都のダカールは西アフリカ有数の貿易港としても栄えている。セネガルは世界一の落花生生産国・輸出国であり、そのほかの主要輸出品としてはリン鉱石、魚介類などがある。
主な民族はウォロフ、フルベ、セレール、トゥクロール、ジョラ、マリンケなど。国民の9割以上がイスラム教徒であり、その中でもセネガル独自のイスラム教団ムーリド派(→アマドゥ=バンバ)は政治経済にも大きな影響力を持っている。
旧パリダカールラリーの終着点(砂漠地帯の治安悪化のため現在は南米で開催)としても知られ、また近年ではサッカーの代表チームも注目されている(たまたまセネガル代表がW杯初出場を決めダカール市内で凱旋パレードをしているところに行き会ったがものすごい熱狂だった)。北部のフラミンゴの大棲息地、奴隷積出港であったダカール沖のゴレ島(両者とも世界遺産)、豊かな伝統音楽の世界、都会的な雰囲気とアフリカ的雰囲気を同時に味わえる首都ダカールなど、豊かな観光資源を抱えた西アフリカの観光大国でもある。
私見ではあるがセネガルの料理は、私が今まで旅してきたアフリカの国の中でダントツの一番である。これがでたらめではない証拠として、西アフリカの大体の国の首都には最低一軒はセネガル飯屋があるということがあげられる。パームオイルを加えた魚の炊き込みご飯チェブジェン、肉の炊き込みご飯チェブヤップ、鳥と玉ねぎの煮込み料理ヤッサをはじめ、様々な料理を楽しむことができる。ビールはフラッグとガゼルの2種類。南部ではヤシ酒も飲める。
*写真:首都ダカールにて。庶民の足ミニバス(ラピビュス)。 |
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〜セネガルの文化・工芸〜
セネガルの文化で最も知られたものといえばやはり音楽だろう。セネガルはお隣のマリと並び世界中で最も知られたアフリカの音楽大国である。ジェンベに代表されるドラムミュージック。コラなどを用いて演奏されるグリオの伝統音楽。それらの豊かな伝統を受け継いだ現代のポップミュージシャンたち。ユッスー=ンドゥール、クンバ=ガロ、ババ=マールなど世界的に名の通ったミュージシャンたちを何人も輩出してきた。街のレストランでは流しのグリオがコラを弾き歌を歌い、町や村のあちこちでは、しょっちゅう路地をふさいでドラムパーティーが催されている。
アフリカ美術の本にセネガルが登場することはあまりない。というのもアフリカ美術の主役といえばやはり仮面、彫像の木彫であり本もそれらを中心に編集されることが多いからである。セネガルでは南部の一部の民族、ジョラやバサリなどを別にすれば仮面や彫像の伝統がなく、黒檀などでつくる現代的な木彫をのぞけば、ほとんどの民族は木彫製作をおこなわない。
そのかわりというわけでもないだろうが、セネガルでは伝統的に金銀などの金属細工・アクセサリーの製作が盛んである。おしゃれ好きなアフリカ女性の中にあってもセネガルの女性は「セネガルの着倒れ」といわれるほどのおしゃれ上手であり、その身を飾るためのアクセサリー類の種類も豊富であり質も高い。
首都ダカールの市場の一角には銀細工視の店が軒を連ね、非常に質のいいものがつくられている。西アフリカの国々の都市(少なくとも首都)には必ずといっていいほどセネガル人職人のアクセサリー店があることからもセネガルの職人たちの技術の高さが伺える。
セネガルの工芸品として知られたものは、ガラス絵(セネガル工芸の代表格。欧米で個展を開く画家もいる)、砂絵、バティック(ろうけつ染め:アフリカ全土で作られているがセネガルのものは質の高いものが多い)、などのほかにも様々のものがあり、アフリカで最も都市化の進んだ国でもあるセネガルらしい現代的・都会的なセンスの光るものが多い。
*写真:首都ダカール市内のガラス絵ギャラリー
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