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*本稿は2016年10月の「黒檀=エボニー特集」コラムに、加筆訂正・写真の入れ替え等したものです。
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〜黒檀=エボニーとは〜
黒檀(英;ebony・仏;ebene)とはカキノキ科Diospyrus種の木のうち心材が黒いものの総称である。アフリカ産の黒檀(アフリカンエボニー)にはDiospyrus crassiflora、Diospyrus piscatoriaがありシエラレオネ、リベリア、コートジボアール、ガーナ、トーゴ、ベナン、ナイジェリア、カメルーン、ガボン、中央アフリカ共和国、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国(旧ザイール)、マダガスカルに分布している(輸出木材としては産出国や積出港の名を冠して、ガボンエボニー、カメルーンエボニー等と呼ばれる)。
いずれの種も樹高15〜18m、平均胸高直径約60p、心材は黒または暗褐色の縞模様、辺材はクリーム色を帯びた白でその境の材は黒と白の美しい模様を描く。木理は通直、やや交錯、波状のものがほとんどであり、肌目は均一となっている。磨き上げると黒光りする美しい木材となるが、非常に緻密・堅牢な木材であり、木材としては非常に重い(気乾比重1.03)
エボニーはその黒く美しい木肌と堅牢な材質のため、古くは古代エジプトの昔からユーラシア・アフリカ各地(東アジアでいう黒檀はアフリカのものではなく東南アジアのもの*後述)で彫刻の素材として珍重されてきた。ナイフ・フォークからビリヤードのキューの手元までさまざまな道具の柄として、またピアノの黒鍵をはじめとする楽器の部品として、家具の部材として(化粧板)、さらにそのほかのさまざまな用途に重宝されてきた。
日本を含む東アジアでも黒檀は古くから銘木として珍重されてきたが、これはこの項で扱うアフリカンエボニーではなく、イーストインディアンエボニーと総称されるインド、インドシナ半島産のカキノキ科Diospyrus種の木のうち心材が黒い木材である。なかでもセイロンエボニーは心材が均一の漆黒のためトゥルーエボニーとも呼ばれている。
*写真(右上):ギニア共和国首都コナクリの木彫工房。多くのエボニー彫刻が展示されている
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〜アフリカのエボニー工芸〜
アフリカ伝統の木彫りの仮面、彫像をぐるりと見回してみるとその多くが黒い外見をしている。そのこととエボニーがアフリカ特産であることがあいまってアフリカの伝統彫刻はエボニー(黒檀)で作られているとの誤解が一部で見られるが、伝統彫刻の黒い外観は虫除けや黒いつやだしのために燻されたり油を塗られたりすることに由来する。
エボニーの木質は非常に緻密かつ堅牢で加工が容易でないため、マコンデなど一部の例外を除きアフリカの伝統的な彫刻に用いられることは少ないが、電動工具が普及してきたこともありその美しい黒い木肌・木目を活かした現代彫刻・工芸品が盛んになってきている。とはいえ、エボニーは本当に硬く、一度電動ドリルで穴を開けたことがあるが2,3回で普通の木工用のドリルの刃が駄目になってしまった。
北アフリカからサヘル諸国にかけて美しい黒い木肌をいかし、エボニーの木地に金属象嵌を施したアクセサリー(ペンダント、ピアス、バングルなど)や、ナイフなどの柄としても珍重されている。
*マコンデ:タンザニア南東部、モザンビーク北部に居住する民族。バントゥー系の言語を話す。エボニー=黒檀を用いた独特のスタイルの彫刻:マコンデ彫刻の名は世界的に有名。伝統的スタイルから現代的デザインのものまで作風は幅広い。
*写真(上):エボニー製ペンダント
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黒檀=エボニー特集Uは2023年5月をもって終了しました
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